面談で「経験が浅い」と言われるのが怖くて、エージェントのフォームを閉じてきた
申し込んでもいないのに、面談の場面はもう何十回も脳内で再生した。相手の第一声はいつもうーんから始まる。
エージェントの登録フォームは、名前を入れるところまでなら何回も進んだことがある。この名前の欄で、指が止まる。送信したら、脳内のうーんが本物になる気がして。
年収は上げたい。今の現場にずっといて、何かが積み上がっている気もしない。じゃあなんで送信しないんだろうと考えると、出てくる理由はいつも同じで。
面談で「その経験だと厳しいですね」と言われるのが怖い。
テストと保守ばっかりで、語れる実績なんてない気がする。設計からやってる同期のQiitaを見て、そっと閉じたこともある。もしプロに「市場価値ないですよ」とはっきり言われたら、今の会社で耐えてる理由まで消えてしまう気がして、、、
それなら、知らないままのほうがまだ動ける。そう思って、フォームを閉じてきた。
でもこれ、本当にそうだろうか。
「経験が浅すぎます」と言われた話は、実際にある
一番嫌な話から片付ける。
面談で「自社開発は今の段階だと無理です」「経験が浅すぎます」と言われた人の体験記が、Qiitaに実際にある。読んだときは、閉じたあとしばらく何もできなかった。脳内で再生してきたうーんは、妄想じゃなくて、現実に起きてることだった。
だからこの怖さは、気のせいでも考えすぎでもないと思う。
ただ、あとから読み返して引っかかったところがある。あのエージェントは、なんであんな返し方をしたんだろう。親身になるのが仕事のはずなのに。
面談は「審査」だという前提、本当にそうか
考えてみたら、エージェントが誰からお金をもらってるのか、ちゃんと考えたことがなかった。
答えは企業側だ。紹介した人が入社したら、企業がエージェントに報酬を払う。相談する側は1円も払わない。ということは、エージェントにとって、目の前の相談者を落とすことには何のメリットもない。通してはじめて商売になる。
面接官は、落とすのが仕事。
エージェントは、通すのが仕事。
同じ「経歴を聞かれる場」でも、向かいに座っている人の利害が逆を向いてる。ここに気づいてから、脳内の再生が少し変わった。
じゃあ、「経験が浅すぎます」と言われた人がいるのはなんでだろう。たぶんあれは「あなたに価値がない」じゃなくて、「うちには今、あなたに紹介できる求人がない」という意味だったんだと思う。持ってる求人は会社ごとに全然違う。経験の浅い人向けの求人を持ってないエージェントに当たれば、そう返される。それだけの話で、市場からの最終宣告ではない。
実績がないのと、言葉にしてないのは別の話
とはいえ、仮に面談が審査じゃないとしても、話せることがないという問題は残る。テストと保守と、たまの障害対応。華々しい設計の話も、モダンな技術選定の話もない。
ただ、ここも一度疑ってみたい。実績がないのと、実績を言葉にしたことがないのは、たぶん別のことだ。
どの規模のシステムを見てたのか。障害のとき、何を最初に確認する癖がついたのか。いつから「これはあの人に任せよう」と言われるようになったのか。この辺は自分の中で「普通のこと」として処理されてるから、実績だと気づかないまま、頭の奥に埋もれてる。
そして埋もれてるものは、ひとりで机に向かっても出てこない。実際、職務経歴書のファイルを前に固まったことがある。他人に聞かれて、はじめて言葉になる種類のものだから。
面接が下手なら、練習してから本番に行けばいい
ここまで整理して、順番が逆だったのかもしれないと思った。
面接に自信がついたら申し込もう、と思ってた。でもよく考えたら、面接の自信って、面接の場でしか育たない。現場で何年コードを書いても、自分を売り込む練習は1秒もしてない。
たまに見る婚活番組で、思うことがある。スペックは悪くないのに、毎回誰にも選ばれない人。あれって本人に魅力がないんじゃなくて、相手が見てるポイントと、本人がアピールしてるポイントがズレてるだけに見える。年収を聞かれてるのに趣味の話をしてたら、どんなに良い人でも選ばれようがない。
面接も同じかもしれない。技術力が足りないんじゃなくて、自分の経歴を面接官が読める仕様書に、翻訳する作業をやったことがないだけ。だとしたらこれは、準備不足なだけだと思う。
じゃあ、この練習に何回でも付き合ってくれる場所はどこか。探して辿り着いたのが、テックゴーというITエンジニア専門の転職エージェントだった。
模擬面接は1回まで、というエージェントも珍しくないなかで、ここは回数に制限がないらしい。本番で落ち着いて話せるようになるまで、何度でも付き合ってくれる。
模擬面接では、「障害のとき、最初にどこを確認してました?」みたいなことを聞かれるはずだ。聞かれて、答える。この繰り返しの中で、自分では普通のことだと思ってた経験が、職務経歴書に書ける言葉に変わっていく気がする。白紙のファイルを前にひとりで固まってた作業が、会話なら進む。
しかも対象は、実務経験2年以上のITエンジニア。つまり2年働いてきたなら、「経験が浅すぎます」と言われる心配をする側じゃなくて、向こうが会いたいと思ってる側にいるはずだ。
面談の当日、実際には何をするのか
この無料相談に申し込んだとして、当日聞かれることは、たぶん2つだけ。
何をやってきたか。
これからどうしたいか。
面接なら、この2つに完成した答えを返さないと落ちる。でも面談は逆で、答えがぐちゃぐちゃのまま持っていっていい場所だと思う。「年収は上げたいんですけど、自分に何ができるかって言われると、、、」くらいの状態から一緒に言葉にしていくのが、向こうの仕事だから。
完成した答えを審査される場だと思ってたから、怖かった。
未完成のまま持ち込んでいい場だと分かってから、脳内のうーんの再生回数は減った。
もし仮に「希望の求人は今は難しい」という話になったとしても、そこで分かるのは市場価値の有無じゃなくて、現在地だ。何を足せば届くのかを、求人を毎日見てる人に聞ける。知らないまま固まってるのと、どっちが先に動けるようになるか、という話だと思う。
何十回目かの再生を止める
脳内の面談は、もう何十回もやった。
そろそろ次の1回を、本物にしてもいい頃だと思う。